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西洋兜の改造 その1 改造前

しばらくずっと改造ブログを書いていなかったなぁと感じたので、改造作業でもアップしてみるよ。制作作業はちょっとだけお休みね。♪

下の画像の兜は、ドイツから購入した兜とのことです。ただドイツで作っていたかどうかは不明で、場合によっては他の国の品を安く仕入れて、安く売っているケースもあるので何とも言えませぬ。値段がとても安かったのと、作りがいまいちだったので、もしかすると第三国で作られた可能性が高いと思います。

さて兜の改造の話だけではつまらないので、この兜がどんな歴史の兜か、ちょっとだけお話ししましょう!(誰も読んでいないのに誰に語っているのか(笑))

この兜は、学問上では「イタリア式サレット兜の一種」と呼ばれています。
いま「学問上?」と思った人もいるかもしれないけど、欧米ではこのような西洋甲冑武器の学問が一つの分野として確立されてる。日本だと文化や歴史の「物」として紹介されて終わってしまい、踏み込んでも骨董の分野で知識が語られるだけで寂しいばかり。
(;へ:)
厳密には「古武器学」や「考古学」の一つになるんだけど、構造や分類などを専門に扱う学問が独立してて、19世紀から論文や報告書がある。現代ではそれらを元に継続的な研究をされているわけで、長い年月との分析の結果、少しずつ新しいことが分かっている。考古学と呼ばれるのは「物はあっても記録がない」ためで、鎧の外見だけでなく、恐竜のように分析と分類から歴史を学ぶと言うスゴイ学問ですな。これが学者さんたちが書いた論文的に表現される「学問上」の意味だね。
だから好き勝手メチャクチャ表現すると素人丸出し。(爆)

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脱線しちゃいましたので元に戻るぞよ。
この兜、元々の原型は15世紀中期からあって、イタリア式サレット(鉢金)に、ドイツ式の面頬と錣がついている。15世紀末期にこのような独特な形になって、16世紀初頭を最後に消えてしまったデザイン。鎧の種類では「過渡期の鎧」の時代で、ゴシック鎧とマクシミリアン鎧が移り変わるあいだに集中して使われたみたい。この時代はイタリア戦争前期だけど、急激に戦争が劇化し武具の需要が極端に増えて、簡単に作れて、安くて、防御力が高い兜が求められたときだね。

簡易式に被るサレット兜と、顔を包むアーメーット兜の中間的な物で、アイデアやメカニズムはドイツ式サレットからもいくつかの共通点があって、なんとも区別のしにくいへんな兜。(汗;) 前述イタリア式サレット(旧バシネット構造)の一種とされているけど、ほとんどは神聖ローマ帝国(ドイツ)側が使っているわけだし、技術的にはドイツ癖が強いので、産地を取るか、使用者を取るかで解釈が変わるのでさらにややこしいのだ。それに、この時代はイタリアの鎧産地は、神聖ローマ帝国の影響や庇護を受けたり、直接注文を受けていたので、ドイツ風になるのは当たり前と言えば当たり前だね。
しかし現代の車で例えるとどうだろう?トヨタはジャパンだし、ベンツはドイツなのだから、産地優先と言えば産地優先になるのかな? でも北米トヨタなんてのになるとアメリカ産トヨタ車になるから、やっぱり線引きは難しい。(笑)

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余談はさて置き、本題へ。
この兜は十分な鉄兜なので、遊びで被ることもできるし、お祭りイベントでそれなりに乱暴に使っても壊れない十分な作り。たぶん頭は2ミリの鉄板だと思うところ。センターで溶接次ぎされていたので本式作りではないけど、外見は悪くないので、うまく改造して殴り合い競技に使いたいと頼まれました。(笑) 改造する点は、安全になるよう面積を増やすのがメインですが、依頼された改造ポイントは以下の通り。

1:被るとヴァイザーが顔サイズとぴったりで、少しでも動くと顎が飛び出す。それで殴られると顎が殴られるか、ヴァイザーの縁が顎に当たって危ないので、ヴァイザーを前方になるよう移動し、顎に触らないようにする。そして下縁がギリギリなので、部品を付けたして顎を広く守るです。
2:後ろ首が大きく露出しているので、もう少し首を守りたい。小柄な人ならちょうど良いけど、着用者の首が長いので被ると後ろ首が露出してしまい、ちょっと危ない感じ。
なので錣を追加してもう少し後ろ首を広く守るようにしま~す。
3:ヴァイザーの支点がこめかみにあるが、これがずいぶんと浮いている。浮いているとかのレベルじゃないくらい浮いてるけど(笑)、このファンタジー兜の角のように飛び出しているヴァイザーの支点を、頭のラインにフィットするように形を整える。
4:あちこちに傷や凹み、ウネウネ、縁のギザギザがあるので汚い。それらを整え、全体的に綺麗な状態にする。厳密にはギザギザだと危ないので、安全のため綺麗にするのね。

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以上の点が、相談された改造ポイントでした。
細かいことを気にするとあれもこれも気になって、改造どころではなく作り替えになってしまいそうなので、原型はできる限りそのままにして、必要な目的だけをクリアするようにしました。簡単にちゃちゃっとやった作業なのであまり綺麗じゃないけど、今回の作業はいろんなことを考えて工夫したので、けっこう楽しくよい経験になりました。♡
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.27 2010 修理・改造作業 comment0 trackback0

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