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15世紀のブリガンディンは高性能

 これまたちょっとおもむきを変えて。
(´ ▽`).。

 この鎧は15世紀中期から後期にかけてヨーロッパで広く流行した、一般兵士用、または騎士用の簡易鎧「ブリガンディン」でございます。フランス語だと「ブリガンディーヌ」で、イタリア語だと「ブリガンティーナ」で、ドイツ語だと外来語として伝わり「ブリガンティーネ」と呼ばれるものですな。
(なぜかドイツ地方ではそんなに使われなかったみたい)

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 言葉の意味は、語義が「蛮族のもの(鎧)」から「兵士のもの(鎧)」のような意味で、量産される簡易式の胴鎧のことを意味するんですね。邦語で表現すると「兵士が着るやつ」とでも表わすのが良いかもですね。

 形を見て「これはブリガンディンといいます」とだけ書かれていては知識として何の深みもないので、名前以外に、語源や邦語としての意味(訳語ではない)が必要だと思う。

 こうした理解がしっかりしていれば、日本の書籍などでしばしば見られる勘違いの、ジャセラントをブリガンディンと示したり、小札で組んだパレートアーマーをブリガンディンとして示すこともなくなるはず。

 こうしたボケをかますのは見た目の作りだけでブリガンディンと判断すると起きることで、名称の意味や用途を考慮しない典型的な事例で、国内ではぼちぼち見られる。だからコートオブプレイトとか、プラストロンドゥフェールとかも区分されず、構造や時代を無視した、混同する説明がしばしば見られてしまう。

 単にブリガンディンと名前を説明するのではなく、時代や用途以外に、材質や装甲厚、強度や着心地などを書き添えてくれると知識として面白いんだけど、そういったことって本当に誰も書いてくれないよね。「これはブリガンディンと呼ばれる」「これは15世紀の鎧」とかそんなのもういいんだよ、と思っちゃいます。
(´~`;)

 細かいことは割愛するけど、ブリガンディンは革や麻布の服に、錫メッキをした鋼の小札を鋲留めしたジャケット型の鎧で、量産が利いて安価で、誰でも気軽に着ることができ、機動性があって、15世紀の歩兵に広く使われた、なんてことを軽く知っているだけで、それを具体的に知ることができるわけだね。

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 この鎧はとても合理的で、プレイト甲冑のようにベテランの職人でなくても、内職で誰でも量産ができる優れた鎧なのだ。もちろん作業員はベテランの職人でしょうが、布と小札は単純作業なので分担作業が簡単。だから安価に量産ができて、歩兵用の鎧にははとても都合が良かったんですね。

 現代のブリガンディン制作者も、小札の種類を番号を振ってで公開しておる。その番号の小札を一定数作ってジャケットの内側に留めれば1着作ることができるわけだ。

 そして機動性と防御力は、冬の厚手のコート程度の機動性で、しゃがんだり動いたりするのには何の問題もなく、動き回る歩兵にとってはとても便利だったでしょうね。そして鋼のプレイトはそれぞれが重なっているので、矢や刺突などに強く、現代の実験でもかなりの防御力があったと広く結論づけられてる。

 こうしたことを考えると、このブリガンディンは良くできている鎧だなと感心しちゃいます。そしてこのブリガンディンを裏返すと、小札が布で綴られているのが分かり、基本構造は日本の鎧とそっくりだと分かる。小札を紐で綴るか、布で綴るかの違いで、これは世界共通の鎧技術なことも分かり、とても感心してしまう。

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 そんなすごい便利なブリガンディンだけど、このたびこの品を預かり、不要なので売却します。資料などに購入希望する方はこちらまで気軽にコメントくださいな(非表示あります)。中古品で少々痛んでいますが、ボロボロではないので使用や資料には問題ないと思います。

品名:ブリガンディン
時代:15世紀中期〜後期スタイル
材質:麻布、絹布、鋼、革、
全長:約80cm、太目のLサイズ以上、XL〜XXL推奨
胴回:約110cm、太目のLサイズ以上、XL〜XXL推奨
重量:約10.7kg
価格:¥95.000-(送料別)

この品物は売却されました。





※文章画像の無断転載厳禁
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.05 2015 販売品・売却品・在庫 comment4 trackback0

comment

マクシミリアン1世
> 黒住和隆さん
日本では信長の時代になってから鉄を輸入し始めたような話を聞いたことがあります。たぶん鉄砲の量産を目指したのかなと思いました。
鎧の小札も革に漆を塗った物が基本ですが、大袖などの最上段はしばしば鉄小札の1列があって(鉄交ぜ)、強烈な斬撃の初撃を食い止める構造になってるなどは当時の工夫だなと思いました。
日本の小札鎧も、すべてが革小札、すべてが鉄小札、と思っている人は意外と多いので驚きましたが、国内の本を眺めていると、外見以外での解説はもっとあっても良いのになとしばしば思います。
2015.09.20 13:24
黒住和隆
日本の甲冑は源平合戦のころは「鉄交ぜ」という言葉があるくらいですから装甲の材料としては「革」がメインだったのですよね。
後に鉄の生産量が増えても今度は「鉄砲」と資源の取り合いになったでしょうし。欧州ほど甲冑に鉄資源を割けなかったのでしょうね。
2015.09.19 00:09
マクシミリアン1世
黒住和隆さん

こんにちは。日本では日本甲冑だけが特別だと思われていますが、こうした小札鎧は古代の時代から世界で使われてて、それが次第に世界各地へに広がっていき、その最後のほうに東の果てにある日本に伝わったことはあまり認識されていないようです。
小札の形と紐の留め方、量産性とコスト、防御力と可動性を考えてさまざまな組み方が考えられていて、どの時代、どの国もいろいろ工夫しているなと感心させられます。日本は金属があまり取れないなか良質の漆が取れる、など独特の条件が個性的な発展につながったなと思います。
特別なことと言えば、ヨーロッパのプレート甲冑のほうが明らかに特殊で、世界には類のない発展だと思います。
小札鎧だけでもひとつの学問になるくらい奥が深いです。

こうした世界との比較や時代の変化ももっと国内で紹介してくれる解説があると楽しいですね。
2015.09.18 11:19
黒住和隆
日本の甲冑のなかでも糸や革で威したものよりも簡便な革包み、布帛包みのものやそれらの元なったと考えられる中国の甲冑(元寇の時、元軍が着用のちに明、清でももちいられていたもの)にも似ていますよね。
やっぱり、簡単に作れて、動きやすい、となると似たり寄ったりのものになるんですね・・・。
2015.09.17 02:03

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