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古いゴーントリットの修繕 その2 分解

 オーバーホールでリフォーム&完成に挑むので、まずは全体をすべてバラさないといけないね。いつも思うけどこの分解は非常に面倒で難しく感じる。組み立てるときは、順番が分かっていれば考えて何とかなるけど、分解はもともと分解する想定ではないので、鋲を外すのにとても難儀する。

 現代では主にボルトやナットのネジを使われているから分解は楽だけど、西洋甲冑は鋲だから、その鋲はそもそも取れないようにかしめてある。それを破壊せずに取ろうとする訳だから、思っている以上に面倒くさい。そして現代、電気工具や便利な工具があるから細かいところまで工具が入ってある程度いいけど、昔はどうやって分解していたんだろうと思ってしまうのね。

 ところでこの鋲は、留め口がゴーントリットの内側に向いている。だから鋲を取るときは内側から鋲を破壊して外す。削ったり捻ったりなどなど。でも電動工具で無理にやると周りを削っちゃったりするし、バールなどで力任せにやると周りが変形しちゃうのでダメで、こいつがパズルみたいでとても疲れる。

 海外のある製作サイトでは、この苦労を避けるために表から鋲を破壊するとも紹介されていたけど、表面にダメージが残る可能性が高いので、私は緊急時の最終手段以外に、表からの鋲外しはしません。

 しばしば人から依頼される修理などは、この初めの分解が一番やりたくない作業で、むしろ初めから綺麗に分解して持ってくれば、2〜3割の値引き価格になるよ、とまで言える。でも何も知らないで分解をやると、時間がかかったり、部品を酷く痛めててしまい結局高くつくとかになるから、安価で安易で近道はないってことだね。

IMG_0563.jpg

 少々時間をかけて、画像のようにすべての分解を行ったところ。左右の手を、表裏別々にして並べてありますびょん。錆びていると表裏の区別がつきにくいな。

 このゴーントリットは初期試作品だけあって、装甲は若干薄い印象を受ける。もしかしたら当時は、この厚みの鉄板が気軽に手に入ったのかもしれないなぁ。はっきり計測していないけど、0.6か0.8ミリのような気がするので、やっぱり手の部分は1ミリが良いなと思った。

 0.8ミリと1ミリでそんなに違うの?、とか思った人はド素人です。はっきり言って別物に感じるほど違うゾナ。重さもかなり違うし、動き具合や音の違いもかなり出る。当然防御力もかなり違う。「0.8ミリから1ミリになってもたった2割増」「1ミリから1.2ミリになってもたった2割増」だけど、その強度は単なる2割増ではなく、もっと大きな差が生まれる。難しい計算だから正確には分からないけど、1.5倍ずつ増えて行くと思っても良いと思う(重量は単純に2割増ね)。

 あんまり難しいことは分からないけど、0.8ミリから1.6ミリになると単純に厚さは2倍だけど、堅さは2乗と考えて言い訳で、つまりおおむね4倍堅いと思って差し支えないと思う。堅さが4倍になると苦労は4倍ではなくて、これもまた2乗ほどに感じるから、16倍苦労すると思って間違いない(笑)。具体的な数字じゃないけど、それくらい急激に苦労する度合いが増加すると言った例えだね。

 だから本物の西洋甲冑は「装甲を強くするためにどんどん厚くしたい」「しかし軽くするためにどんどん薄くしたい」の相反する希望の元で工夫と進化しているんだよね。肉厚を増やして頑丈にできないから、科学的に鉄材の硬度を上げて、形を変えて力学的に丈夫にする。ハイテクも教科書もないのに昔の人はスゴいなと感心する訳だ。
(;゚Д゚)

 長い歴史の中で、何百万人の命の犠牲の上と、天文学的な財産が湯水のごとくつぎ込まれ、数千数万の職人たちが苦労してきた甲冑製作技術を、現代人がおいそれとすぐに真似できる分けないのだ。だから勉強すればするほど西洋甲冑は難しいものだと理解できる訳で、ハイテクがあれば何でもできると思っている人は、むしろ素人ということが分かるのです。


 さて、こうしてすべてを分解すると、ひとつずつのパーツが分からなくなるので、分解しながら裏側にナンバーを振りましょう。そうすれば左右が混ざっても分かるし、区別のつかない部品でも順番がはっきり分かるし、逆さで鋲がはまらないと言ったマヌケなこともすべて防げる訳だ。

 それではこの錆が深く食い込んだゴーントリットを綺麗にしようじゃなイカ!
( ´¬`)ノ





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.30 2013 修理・改造作業 comment0 trackback0

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