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アメリカ:メトロポリタン美術館 その5

その他の甲冑をもうちょっと紹介ね。
ちなみに武器は、見ると意外と地味で、すぐに飽きちゃいます。たぶん見たまんまの形と大きさだから、そんなに感動しないのではないかと想像するところです。
(・ε・)

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さて、上の画像は16世紀後期のトーナメント用甲冑ですな。たぶんあの有名な伝説の「誕生日の12領甲冑」の一つだと記憶してる。制作したのは甲冑師:アントン・ペッフェンハウザーだけど、この名前を聞けば、西洋甲冑マニアなら誰でも知っているんじゃないかな。西洋甲冑師の中では群を抜いてバランスの取れた秀作をいくつも作っていることで知られている。私も三浦さんもお気に入りの甲冑師で、三浦さんはこの甲冑の複製を作ったけど、形とバランスは本当に良くできているよ。地味な展示でもったいないな〜。

この西洋甲冑は16世紀後期〜末期に近いころの作品です。たしかそんな記憶もあるけど、アントン・ペッフェンハウザーは16世紀後期に活躍してその頃に多くの作品を残しているから、これも例に漏れずでしょう。形をみても16世紀後期〜末期なことも良く分かる代表的な形でもあります。

形が良いのでしばしばイラストの資料にもされるけど、これはトーナメント用の甲冑なので、実戦や戦場では使いませぬのだな。形を見るとトーナメント用形状と良く分かります。トーナメントと言っても馬上槍試合ではなく、これは徒歩戦競技のやつね。補強具を付ける穴もないし、半分はパレード甲冑みたいなもんだけど、構造はよくできた徒歩戦競技用の甲冑でございます。この徒歩戦競技は上半身を攻撃する競技だから、初めから脚鎧はないのですよ。

ちなみにこの甲冑はブルーイングに加工がされていたので、元は濃青に輝く素晴らしく豪華な甲冑だったのね。いまは400年以上時間が経ってしまったので、酸化して黒ずんでしまったけど、この黒ずんだブルーイングも磨き落としていないし、できるかぎり現状で保存してあるんだね。

西洋甲冑を見るときは、有名とか、豪華とか、高価とか、デッカいとか、奇妙で面白いとか、そんな要素で見るのではなく、こうした有名甲冑師の秀作を見るのが良いのでございます。他の博物館でもそうだけど、「この甲冑はバランス良くてかっけーな!」と感心して、説明文を読むと「アントン・ペッフェンハウザー作」って書いてあるんだよね。このように、優れた甲冑とは理屈じゃないんだよ。
(^з^)-☆



IMG_5872.jpg

最後にマクシミリアン式の甲冑ね。
けっこう凝ったデザインで、16世紀前期の標準的な形。作りが安定しているから、一般的な1520年前後だと思うけど、詳細を見ないと分からないなぁ。しかしよくこんな物をたくさん作ったなと思うよ。実用と装飾の両方を最高にしようなんて、なんて無茶な時代だったのかなと思うけど、この当時は鈑金技術が最高峰に達したので、これが限界だったのかなと考えてしまう。

1520年以降は戦争が急激に劇化したし、銃が大量に普及したので、これ以降は一気に甲冑も対銃に形が変わって、形から材質への強化が進んで、それまでのような造形はどんどん消えていっちゃう。それ以降のルネサンス式甲冑には金鍍金やブルー加工、エッチングなどが多用されるけど、結局は値段が下げられないから、造形の代わりに装飾でお金を取るようになったんだろうねきっと。歴史の背景と重ねて見ると、最高と衰退の同時頂点であるこの甲冑は、どことなく哀愁を感じるところでございます。

しかしメトロポリタン美術館には、こうした多くの優良甲冑がたくさんあるけど、こうして展示されている甲冑もごく一部にすぎないのじゃ。寄贈品や修理待ち、調査待ちの甲冑は、バックヤードにまだウン十倍以上はあるそうなので、甲冑の展示や整理は、おそらくこのまま続けても数百年かかるだろうね。

少なくても大規模展示変更を行うには数十年サイクルだから、つまりそうした倉庫に入っている西洋甲冑は、私たちは一生見ることができないかもしれないのよね。でもそれは仕方のないことなので、こうして来れる機会のときに精一杯見学して資料を集めるしかない。できることを精一杯する。歴史から学ぶ人生の教訓でございます。

つづく





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.28 2013 海外旅行記 comment0 trackback0

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