fc2ブログ

手甲造りに挑戦 その30 感想

最後なので、簡単に全体を振り返って感想を上げてみますね。

これも手元に現物が残ってないから、毎度のこと人に見せることはできないけど、今回も初めて手甲を作ってみて、それまでの知識が具現化できて良かったところです。知識や理屈は分かっていても、イザやってみると理論知識と製作知識はまったく別なことがわかり、いかに机の上の勉強が表面的なところかと言うことを思い知らされました。実践や実験や経験があってこそ、紙の上の理論が成り立つんだね。
(´ ▽`).。

できることなら、具体的な歴史物を再現したかったけど、今回も体験なので多少のオリジナルデザインでやってみたのよ。だいたい15〜16世紀ころのよくあるデザインと構造をミックスした物で、具体的な時代考証はあえてしていないので、どの時代とも言えないかな。でもこの形は17世紀前期でも似た形があるから、どの時代とか何とも言えないなぁ。とりあえずテキトーと言うことで。
ヽ( ´¬`)ノ

IMG_0132.jpg

文中で何度か書いているけど、こいつはずいぶんと苦労させられた!が正直な感想でございます。サイズが小さいのは扱いが簡単で、座りながらじっくり手元で出来たのはラクだったけど、いかんせんこれまでの全身部位の中では、ダントツにパーツ数が多いので、一つ一つの形成や合わせが手間取ってしまい、想像以上の手間と時間がかかった。手甲なんか小さくて簡単だと思った人は、是非とも5本指手甲にチャレンジしてみてね。

手甲は全体が小さいので、小さい部分にかなり気を使ったかな。手に持てるサイズで造りが細かいと、つい細部まで見てしまうし、ちょっとした部分でも変な風に見えたり、こすれたりするので、様々なところを細かくヤスリをかけて調整。ハンマーでガンガン殴る時間は少なく、ほとんどはヤスリをかけて形を整えることと、仮組立をして動きを確認することばかり。

全身の部位を順番に造り進めてみたけど、結論として手甲が一番最後にして一番難しかったと言うことになっちゃいました。例えば海外で安く造られている手甲だとしても、良くできている手甲はしばしば意外に高いことが多く、日本円で数万円から10万円位する物も少なくないわけで、円支払いの為替で安いと思っても、物価価値で換算すると、現地の物価指数で見ても10〜20万円することがわかり、やっぱり手甲は良い物ほど繊細で手間がかかって高価なんだなと判るわけだ。

IMG_0143.jpg

大きさの関係から自分も身につけられるから最後は着けて楽しんだけど、最後だけあってぼちぼち造るのも慣れたかな。手甲の付け心地はとても自然で違和感も不自由もないし、持ち主が身につけても同じような感想だったから、武具としては問題なく完成したんだなと思うよ。

極端なグーパーはちょっと無理あるけど、それでも広い可動範囲に無茶な負担はかからないようにしてある。そもそもそこまで極端にグーパーすることはめったにないし必要もないわけで、自然な半パーか、武器を持った半グーがほとんどで、基本はその形で自然な形になるように設定してある。だからぶらりと置いた人の手のような写真は自然だし、物を握った様子も自然なわけでございます。

たぶんこの手甲で、日常のことはだいたい自然にできるはず。基本的に革手袋だけの感覚は変わらないから、バイクに乗るのも剣を持つのも銃を持つのも、どれも自然にできるはず。少なくてもスキーグローブより自由に手が使えるはずだよ。手は非常に繊細だからほんのわずかなことが致命的になりかねず、だからこそ時間をかけて細かくやったのです。
(^_-)v

IMG_0145.jpg

もちろん今回も、設計図なし、図面なし、サンプルなし、完成写真なし、型紙なし、スケッチなし、アドバイスなし、経験なし、専門知識なし、機械なし、デジタル機器なし、と無い無いだらけの中、持っている知識と想像だけで造った手甲の初作品です。出来が良いとは言えないけど、その分、得られる情報が多かったのは嬉しかったところ。終わってみるとあれこれ改善点が多く残るけど、だからこそ次を良くしたいと強く思う練習の作品でした。それでもイメージには近づけたので、まぁまぁの80点くらいかな。

いつものこととは言え、初めに考えていたことと、やっている最中のギャップはものすごい物で、何でこんなに難しいの?、とか、なるほど昔の人は賢い!、と驚きに包まれっぱなしでした。それだけ、ちょっと見ただけや考えただけでは、想像できない要素や注意点が多く、単純な組立だけでないことがよく解った。イラストなら自由な形や構造にできるけど、現物ではそうはいかず、自由デザインにしてほんのわずかでも端が当たると動かなくなっちゃうんですからね。(笑)

動きや構造を考えるとき問題は一つではなく、その一つをクリアするのに別の問題が存在し、まず先にそれを前もって発生させないようとする。しかしその問題を前もって対処するとさらにその先に別の要素があることが分かり、先にそっちを問題回避の準備をしておく、と言った何段階もの問題解決(予測)が必要とされ、やろうとしたいことが対したことでなくても、それをやるにはいくつも複数のことを先まで注意しないと、進んでから袋小路の行き止りですぐアウトになっちゃう。まるで将棋をしているような感じだよね。

そういった意味で、型紙アリやコピー品造りなんてのはもっと簡単なんだろうなと想像してみる。とにかく西洋甲冑は平面ではなく、全てが三次元の鉄板の組合せなので、きちんと合わせる苦労に終始。ひたすらこれにつきますですよ! よくある溶接や鋲で圧着させて強引に合わせ固定してるのではなく、その物自体が独立した形で、なおかつ連続して合わさり、なおかつ連動してスムーズに動くのです。紙でも布でも革でも粘土でもない、そうかとて機械工作の鉄鋼や工業製品でもない。この凄すぎる不思議な理屈が分かるだろうか!

IMG_0149.jpg

さてと、思ったより苦労したけど、時間をかけて良く考えるとだいたいのことは何とかなるな〜と思った。正確には何とかなるではなく、なんとかした、だね。わかんね!、できね!、時間ね!、と決断してしまうと何でもできないけど、とにかく時間があればかなりのことができると実感したところ。もちろん知識ゼロでは無理なので、最低限の知識があることは前提ですよ。

現代多くの場合、この時間が非常に短く設定されているからどんなこともできないわけで、それを克服するために機械などの道具を使うんだけど、機械が高額だと量産でもしないかぎり割が合わないから機械化もできない。また機械を使うと完璧にできると錯覚する人も多いけど、機械も使う人によって結果が全然違うから、機械を使いこなすにもそれ相応の経験と時間が必要になっちゃう。

時間ない、機械ない、お金ない、おまけに経験ない、資料ない。(笑)
こうして多くのことは「できない」の結論になっちゃうのかなと思った。三浦さんからはいつも「時間をかければ大概のことはできる」と教わっていたので、その通りかなと思う。現代では時間をかけることは悪いことだと思われているし、劣っていると偏見があるのが良くないのかな。頑張って無茶をするほど高評価になる、なんてへんな根性価値観があるからのう。出来ることなら苦労せずに少ない時間でヒョイヒョイと才能だけで造ってしまう方が優れているんだけどな。(笑)

と言うわけで、難しいことはとにかく時間をかけてよく考えてしがみつくしかない。とりわけ才能もお金もないと自覚するならば、なおさら時間でカバーするしかない。「自分にはそんなに多くの時間がかけられない」と誰もが主張するけど、それは三浦さんからすると「時間をかけなければいけない物を、手っ取り早く結果だけ手にいれようとしているのであって、その考え方は単なる欲張り」と言うことになるらしい。確かに現代では何でもそうかも。私だってそういわれてそうだなと思い、ここまで来るのに15年以上基礎勉強して来たんだからね。
ヽ( ´¬`)ノ

IMG_0152.jpg

思うことは色々あるけど、まずはこのへんで手甲は以上となります。
やっと全ての全身パーツが終わったので、あとで全体を総括して振り返ってみようかなと考えているけど、特に予定もないので、気が向いたらそのうち書くつもりです。
誰も読まないような独り言ブログをいつも読んでくださる方に感謝しま〜す。
そしてお疲れさまでした〜♡
ヽ( ´¬`)ノ


実質作業:約196時間
重量:約560g(片手)
材質:鉄1mm、0.8mm





※文章画像の無断転載厳禁
スポンサーサイト



.16 2013 手の手甲 comment0 trackback0

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://armourer.blog64.fc2.com/tb.php/325-cd1a7600

プロフィール

マクシミリアン1世

Author:マクシミリアン1世