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アメリカ:ヒギンズ・アーマリー博物館へ その2

はてさて、こんどは博物館内の展示についてもう少し感想を。

前のところでも学習型展示に感心したと書いたけど、この博物館ではその部分が一番感心したのでした。日本の博物館や郷土資料館だと、どちらかと言うと保存や保管のための展示の印象が強いよね。壁面のガラスケースに入り、証明が限りなく弱く、湿度と温度が徹底的に管理され、管理保全のためにときどき展示替えがされる。徹底的に撮影が禁止なのは当たり前だし、触るなど死刑のごとく論外だよね。

でもこちらに至っては、前に書いた通り、可能なかぎりガラスケースはないし、写真もフラッシュでなければ撮影可能。もちろん触ることはできないけど、触れるほど近寄って見ることもできるし、警報センサーもない。ガラスケースも多くはボックス型なので少なくても3方や4方からぐるぐる見ることができる。そしてケースも小さいので、かなり接写してみることもできる。

そう、文化や知識は開かれて皆の物であるというのが、ここでは非常に強い印象を持ったのでした。たぶん博物館の説明を軽く読んだかぎりでは、ヒギンズ氏自体が、たんなるコレクターではなく、皆にも見てもらいたいとオープンに公開した私設博物館の理念が今でも引き継がれているのかなと思う。

日本だと私設博物館は、公共ではないとけっこう笑いネタにされるけど、ここはマサチューセッツ州から公認の公的歴史博物館として認定されていたし(認定証を見たよ)、博士号を持ってる学芸員(キュレーター)もいて、かなりしっかりした運営と管理がされているなと思ったのでした。この学習型公開博物館のスタイルは、文化や歴史に興味を持つ人には、理想的な展示や運営だと強く思いました。
(;ω;)

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さて、そのような学習型博物館で特徴的な展示を簡単に紹介してみますね。

上の画像はその一つで「西洋甲冑には目的別、用途別に形が分けられて造られました」という説明のコーナーです。私がいつもバカみたいにしつこく言ってる毎度の話です。西洋甲冑は、動けないとか、重すぎるとか、隙間だらけで弱い、とかいろいろ悲しい誤解が多いのですが、その大元はこの基礎認識が大きく理解されていないことで、「西洋甲冑の用途によって形と構造が違いますよ〜」という涙の出るありがたい説明展示なのでした。

上の画像は見ての通り、左から「実戦用」、中央「パレード用」、右「トーナメント用」となっており、それぞれ目的に応じた形とその発展があるのでございます。説明するまでもないけど、実戦用は戦場で使うために丈夫で防御力が高くなるべく軽いもので実用性が優先されてます。パレード用はパレード(祭り)用なので、豪華なデザインが基本です。鎧と言うよりは衣装に近いので防御力は無いと言えるでしょうね。トーナメント用甲冑は槍試合などの競技で使う甲冑で、ケガのないように、とにかくやたらと頑丈にできてる。試合用ではその時だけ我慢するので、装甲がとにかく厚くて重く造られてる。西洋甲冑の全部が過剰に重いと思われているのは、このためでしょうね。だからこそ、実戦用、パレード用、トーナメント用と、目的と造りが分けられているんですよ、という説明が重要になってくるんだね。

この用途と重量については、様々な博物館から出されている展示目録や収蔵目録の一覧表を見れば簡単なことで、用途ごとにかなりの重量の幅があることと、用途別でおおむね重量の幅が決まっていると言うことが客観的に理解できます。西洋甲冑は思いとか動けないとかかなりアホっぽいので注意してね。

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さてこちらは館内に展示してある、甲冑騎士が戦う様子のディスプレイね。細かいことは抜きにして、人が西洋甲冑を着て戦っている雰囲気はここから伝わるのでとても良いと思う。日本ではあまりない展示スタイルだよね。マネキンを造るのに手間と費用もかかるし、展示にはそれなりのスペースが必要だから日本では難しいけど、海外では意外と普通の展示方法なんだよ、これ。

文字や物だけを見ても想像には限界がるので、こうした立体的展示は、子供や一般には非常に良いイメージやサンプルになると思うよ。とりわけここから感じるのは、剣を持ってポーズしていることで、甲冑を着ていても人の動きに違和感がないと言うことが良く分かるのだ。

たとえば剣を握ることも、肘がしっかりと曲がることも、肩を上げることも、首をひねることも、ごく普通にできることが、こんなテキトーな展示でもそれが伝わってくる。なぜテキトーというかは、これが完璧な全身甲冑ではないからですね。合わせ物の全身甲冑なので、ところどころ無理があるので、そのへんはご愛嬌と言うことでしょう。

それにしてもこうしたマネキンの甲冑展示は本当にかっこいいな〜。カカシにかかっているだけの西洋甲冑はどうしてもダラリとしてしまうし、躍動感が伝わらないので「動けない」という誤解を与えてしまうので、こうした展示は本当にありがたいのです。
しかしやっぱり、触らないでねと足下にちっちゃく書いてあっても触っちゃうみたいで、所々に手で触って指の形に錆びが出ていました。自分だけ大丈夫だとみんな思うんだけど、指の指紋の形で錆が残るから面白いよ。(笑)

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さてこちらは、同じく学習型展示でございます。西洋甲冑を知っている人からすると部品の名前など必要ないのだけど、あえて素人向きにこうした初歩的な説明が展示されているのもイイな〜と思うところでしたね。
西洋甲冑がこうしたパーツで構成されていること、それが理解できることが分かるのはとても楽しいし、さらにパーツの名前を知っていれば、会話をするときにも説明しやすくなるので、知識や興味はよりいっそう進みやすくなると思いますよん。

これは西洋甲冑をあまり知らない人と話をすると良く解ることです。ちょっとした疑問があっても、ガラス越しに指を指して「あれ」と言っても、どれのことかちっとも分からないので、時間がもったいないのです。もし単語を知っていれば、スムーズに簡単に会話ができます。

これは西洋甲冑に限ったことではなく、その分野の話をするには、その分野の言葉を覚える必要があると私も常々考えてます。知識は知っていることだけをべらべらしゃべるのは簡単だけど、それでは単なる独り言のアホで、知らない人にも知識が伝えることができてこそ、知識の大切さと本質だと思っていますのです。
であるならばこそ、まずは専門用語や名前、基本的な目的や世界観(基準)を一般の人にも簡単に学んでもらおうとう姿勢と志しは、とても重要なことと思うので、こうした展示は非常に感心したのでした。

学習型展示については以上で〜す。
( ´¬`)ノ





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.24 2012 海外旅行記 comment0 trackback0

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