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胴鎧を作ってみる その25 可動範囲

最後のおまけに、可動範囲をちょっと紹介。
ついでに撮影した画像なのであんまり綺麗じゃないけど参考にアップ。

今回の胴鎧(胸当と背当)は足掻き(可動範囲)が設けられてる。
足掻き(あがき)ってなに?と思うけど、簡単に表現すると「動く範囲」。
「胴鎧が動くの?」と思う人もいるけど、15世紀のゴシック甲冑や、16世紀のスペイン、イタリア甲冑などではしばしば胴鎧が動く構造になっていて、人の動きに連動して、動作を妨げないようになっていたのね。この造りはどれもよく出来ているので、今回の胴鎧の中にも遠慮無く組み込んでみたわけさ。(笑)

初めて作るのに何でそんな無謀なチャレンジするかって?
そうしないと、せっかくのこのデザインが死んでしまうからさ。
(´ ▽`).。

本当は人が着用して撮影すると分かりやすいけど、一人だと何も出来ないので、今回は置いたものを動かしてそれで撮影してみたので、腰のクビレを軸に何となく想像して見てくださいな。
というわけで簡単な比較画像です。

普通にまっすぐな状態の胸当。
P1100349.jpg

前側に倒した状態。
フォールド(スカート)部分が大きく潰れているけど、腰のクビレを見ると重なってけっこう前傾になっている。上からパーツ2,3,4もわずかに前に傾いているので、それぞれが少しずつでも、全体では意外と傾く。
たったわずかだけど、このわずかが使用者の体に負担をかけない。
体を動かしても、突っ張ったり、引っかからないのは大変ありがたい。
昔の人はよく考えたなと感心してしまう。

日本甲冑みたいに鋲でガッチリ固定とかしないよ。
☆^∇゜)
P1100350.jpg

こちらは後方に傾けたところ。
パーツ全てが最大に開いて、状態が反れるのを邪魔しない。
たいしたことがないように思うけど、これもとっても大事。

後方に反れる動きは人体でそうないけど、なにげない動作でも胴は意外と前後左右に動くため、そのたびにどちらかの方向に鎧が引っ張られる。このような足掻きがないと、そのつど胴鎧全体が引っ張られ、肩の革ベルトに強いツッパリ感を生んだり、胴鎧が大きく動いて他の鎧部品にぶつかったりするので、このような小さな足掻きでもとっても大切、かつ有効なのだ。

ただ足掻きを設けることは非常に手間がかかるので、費用対効果を考えると気軽なものじゃなくて、それならば簡単安くてコンパクトに作って動き易いほうがいいと考えるのだけど、それはいわゆる日本の胴丸のようなものになっちゃう。
けど、それでは大金をいただく甲冑師の腕前と存在の意味が無いから、このような贅沢なものも西洋では盛んに量産されたわけね。一般的にはここまで段差はないけど、胸当が2段になっているのは普通だし、腹の部分だけ横板で4段になっているなど、様々な胸当が歴史上存在する。(笑)

(ちなみに、この胴鎧のデザインは歴史的なものじゃないですよ。あくまでもオリジナルデザインを、リアル西洋甲冑で表現するとどうなるか?というファンタジーの甲冑です)

P1100351.jpg


こちらは背当の通常状態。
垂直設置ができないので、変な画像で申し訳ないっす。(´・ω・`)

P1100370.jpg

前側に傾けたところ。
背中は意外と引っ張られるので、出来る限り前に傾くと都合がいい。
だけど元の形と構造的に矛盾するから、この角度を取るのも精一杯。
厳しいなと思ったけど、これだけ前に傾けばオッケーだ。
(^_-)v

P1100372.jpg

こちらは後方に傾いた様子。
大きく傾いているように見えるけど、腰の部分が大きく折れているだけ。
パーツ自体の足掻きはほとんどないので、腰で折れるのがメイン。
そして大切なのが、フォールド(スカート)が大きく重なり折れること。

当たり前のように思うかもしれないけど、しばしば復元された西洋甲冑は、このフォールドを鋲で固定していることがある。見た目にはなにも問題ないのだが、この動きがないと基本的に座れない。そして尻餅を付いたとき、縁が当たって下から突き上げれれることになり、くだらない衝撃やダメージになるのね。

だからこうしてフォールドが大きく反り上がるのは基本的なことだけどとても大事なこと。固定されていたり、反対にブラブラデタラメにつけられているとみっともないので、ピシッと揃えて綺麗に動くのがフォールドの大切なところで~す。
P1100371.jpg

以上。
胴鎧(胸当と背当)の足掻き(可動範囲)はこんなモノです。
自分で作ってみたい方はこれを参考に可動式胴鎧を作ってみましょう。

いつまで経ってもぴったり合わないからって、
ヤケを起こして鋲でガッチリ固定しちゃダメだぞ。
( ´_ゝ`)





※文章画像の無断転載厳禁
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.28 2011 胴の胴鎧 comment2 trackback0

comment

マクシミリアン
ななしさん
騎士は軍人さんなので、普通の人よりトレーニングして体力があるんですよ。
それにほとんどは馬の上なので、考えるよりとってもラクです。(笑)
重そうに見られる現代の動画や甲冑は、でかくて重い作りなので疲れます。
よく出来た甲冑は、ユーザーを苦しめないように工夫されています。
だから本式の西洋甲冑は、驚くことばかりで感心してしまいます。♫

西洋甲冑はあちこち自由に動くのですが、なかなか伝わらないです。
絵の参考になれば幸いです。
2011.02.06 11:57
ななし
動画で実際に鎧を着て階段上ったりしているのを見たこと有りますが
当時の人は当たり前のように着て戦場に出かけていたというのを想像すると
本当にすごいなーと思います。

胴鎧意外に稼動範囲があるんですね!
鎧を描く時の参考にさせて頂きます。
2011.02.05 11:46

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