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「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その12

 間が空いてるので、なんか書いときますね。

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その12」かな。昔に三浦さんからもらったアドバイスや話を思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね、のシリーズ。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その12
『目標を持って年齢を考える』
 前の話から似たような話題を思い出したので、ちょっとだけ書いてみることにしやした。

 私が三浦さんに会った時はまだ若い頃だったので、学生のように何も知らない時期だった。初期の交流の中でこれらの話は何度か聞いた話。若い時と、年齢が上がってきた時のことをある程度考えておきましょう、ってお話でごんす。

 学校は卒業すれば終わりだし、資格なら試験に合格して終わりだし、それで仕事を始めれば社会人のスタートになって生活が続く。だけど勉強やライフワークは資格試験もないし、仕事で淡々と続く日々でもないから、始めるのは誰でも簡単だけど、続けることが難しいし、具体的な目標がなく途中で疲れてやめたり、他へ気が移ったりすることがよくあるそうです。

 これはなんでもそうかなと思うよ。西洋甲冑の勉強や制作などは、人生や社会にとって何の意味もないから、よほど自分で目標や理由がなければ長く集中し続けることは難しいやね。コンテストで金賞をとるとか、人間国宝になるとか、具体的な目標がないと情熱を持って10年20年と続けるのは確かに難しい。なんせ、儲けにならず、なんのリターンもないのだからね。

 そんなことで三浦さんが語る話はいくつかあって、段階的に次の三つをあげてた。
1:何かを始めたら。3年区切りで続ける
2:何かを得たいなら、最低10年は続ける
3:人生は、40歳を折り返し地点と考える
 (二十代、三十代、四十代で三つに区切って意識しろ)

 1:情熱的に何かの勉強や作業を始めるなら、とにかく3年は続けましょう!ってことですね。道具を買ってきました、本を買いました、甲冑作業を始めました、メイルを編み始めました、剣術を始めました、どれも3ヶ月で辞めました、なんてのはよくよくある話で、いかに人が情熱を持って長く続けるかが難しいか分かる。だから西洋甲冑でも、ドイツ剣術でも、作業でも調べ物でもなんでも、始めたら根をあげず、好きだと続けて3年経って、そこの一区切りで一息ついて、その先で続けるか辞めるか結論を出すべし、ですね。一生打ち込むことをたった3年も続かないなら初めからやるな、だそ〜です。

 情報の多い世の中では、とりわけ若いうちは、目移りして何でもかんでも興味あるものに手を出してしまうから、一つのことに集中して3年取り組むのは、考えている以上に難しい。だって目標も成果もないのに、3年じっくり意欲的に続けるんだぜ。冷静に考えたら、それを考えただけで辞めたくなる(笑)。

 2:は、この3年続けるのを3回サイクルで続けましょう、って話ですね。世の中なんでもそうだけど、物事を理解するのにはやっぱりなんでも最低10年はかかるし、自分もそう思う。仕事でもないのに毎日びっちり10年間続けるのは無理だけど、日々の中で頭の中で考えたり、暇を見つけて資料に目を通すなどでも継続的になるから、放り投げずにコツコツ意識を持って3年間を3回以上で10年保ちましょう、ってことでしょうね。

 10年も続けてれば、あれこれ見て経験しているわけだから、ちょっとかじった人より十分に知識や経験が備わってるから、そこで初めて概要(基礎)を理解したことでスタートラインに立てるらしい。自分のことを思い返しても確かにそうだなと思う。実践はともかくとして、10年間物事に取り組んでいれば、どんな人でも経験や知識は備わってくるし、自分なりの価値観が持てるようになる。

 西洋甲冑でもドイツ剣術でも、趣味でも制作でも、それを始めたら10年は続けましょうね、ってお話です。もちろんブランク9年でトータル10年とかはダメだし、ほんわか趣味で楽しんで10年経ったとかはダメじゃろよ。それは単なる娯楽ね(笑)。

 3:は前の話と同じかな。自分の生きている時間を考えると、成長期と衰退期があって、人生の有限期間をどのように活動するか考えると、40歳をピークで折り返しで考えなければならない、って話だね。

 若い20代は情熱と健康と時間と可能性があるので、なんでもできるけど、資金と経験が乏しいので何もできない。だから20代は焦って結果を求めず、しっかり基礎を勉強しましょうね、ってことらしいです。初めから何でも揃ってすぐ結果の出る若い奴なんてろくなもんじゃない、って話はちょっと納得してしまった(笑)。

 三十代は二十代の勉強を生かして自分が活動できる一番楽しい時期。まだまだ半人前なのでデカイことはできないけど、二十代でたくさん勉強してきたならば、自分の行動力で自由な活動ができる(言い方変えると基礎がないと何もできないから三十代で始めるとそっからスタート)。まだ何でもかんでも自由ではないけど、実践を楽しくやりながら地道に活動するのがいいんでしょう。確かに世の中でガンガン元気に活躍しているフレッシュ30代はそんな感じ。

 そして40歳になると、積み上げた実績と力で自分の力で羽ばたく。さ〜これから頑張るぞ!と思える一番力の整った時期が40歳前後頃ですな。な、はずなんだけど、40を境に老眼は出てくるし、身体の無理は効かなくなるし、病気はぼちぼち出てくるし、二十代のような情熱や無謀はしなくなるし、結婚していれば子供や親の老後が問題となり、その他の問題がいくつも現れ始め、やっとこれからなのに、自由に活動したいと思う反面、急激に活動のチャンスが奪われる。

 こうして40歳を境にそれ以降は環境が悪くなる確率が高くなるので、プラスとマイナスの合戦が始まり、運が悪かったりするとマイナスに負けてそのまま活動がしぼんじゃう。だから40歳から過度な成長はほとんど期待できないので、逆算して40歳に成るまでにどれくらい基礎がつけられるか?、がその後の踏ん張り勝負になるそうな(天才は別ね)。

 ほんでわたしゃこの話を昔に聞いていたので、40歳まで何ができるか?と考えて勉強してきた。実際40歳を過ぎると身の回りに問題ばかり出てくるし、思っている以上に身体の衰えが急速に進む(これが一番深刻)。

 これが50歳を越えればさらに顕著になるだろうから、人生80なんてのんきなこと言ってられない。身の回りには60〜80歳の人もいるけど、80になって20歳と同じことできるわけないやね。いいとこラッキーのまま60歳が限界かな。西洋甲冑作業やドイツ剣術なんて、どう考えたって体力の世界だから、年齢制限は思うよりずっと早い。
 
 海外の西洋甲冑師を見ても比較的若いし(三十台や四十代ばかり)、引退した人のサイトを見ても意外と早く辞めてる。それだけしんどいのだろうと思うところ。そんなことで、作業だけだと頭空っぽのドカタになっちゃうから、机の勉強でレベルをキープすることになり、その時に若い時の基礎勉強がより大切になってくるようだ。だけど、手作業と机の勉強は両立が難しく、だからこそ体力バリバリの学者系の人が海外では多いんだなと思ってしまう。

 自分はもう残されている時間や活動できる時間は圧倒的に少なく、活動できる時間は計算できるほど少ない。と言って焦ったり落胆しても仕方ないので、自分はマイペースで続けるだけ。若いときに立派になると、人生をダメにするケースがなんて多いことか!だからね。
 
 若い時に自分で掲げた目標は、「長く続けること」「それを長く楽しむこと」って考えたので、生涯目標は「西洋甲冑に終始携われる環境に居られること」と漠然としたものだった。それは今でも変わらないし、ワクワクもそう変わらない。結果でなく、過程を楽しんでいるのね。

 改めてそんなことをぼんやり考えて、時間の経つのはあっという間で人生短い!、と思って三浦さんのこの話を思い出すのでした。西洋甲冑を作りた〜い!の話とはちょっと違うかもしれないけど、何かに打ち込みたいなら、人生の時間をある程度意識して区切っていこうね!といったお話でした。おしまい。

 最後まで読んでくれた人ありがとさんね。





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.04 2017 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その11

  「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その11」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスや話を思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その11
『まず自分の能力と環境を知ること』
 西洋甲冑を作ろう!西洋甲冑の勉強をしよう!となるとき、むやみやたらに始めるのは無謀ってもんで、物事を始めるためには(始めたら)情熱と勢いも大切だけど、同時に周りと道のりを分析する冷静さも必要ダベ〜ってお話です。
 
 海外の学者さんのように、両親が優れていて、家が立派で、育ちと環境が良くて、頭が良くて、友人に恵まれ、先生に恵まれ、金銭的に何の不自由もなければ学者になれるんでしょうけど、そんなのは万に一人だから、パーフェクト成功者を基準に考えちゃいかんですね。

 何事も努力して頑張ったからといって誰でも同じ結果になるわけじゃない。人は生まれた時代、生まれ育った家族と環境、親の能力と職業、親の財力と人間関係、自宅の大きさや設備の有無、自分の健康や才能、頭脳と身体の得意と不得意、卒業した学校や友人関係、興味を持ったことや長年続けた趣味、好きなアニメと音楽、etc… 上げれば切りないけど、人にはそれぞれ異なった環境と能力があるん。

 ほんで三浦さんはこれを説いてた。人は同じでないことを知り、自分の能力と育った環境をまず理解することが、可能性であり近道。そして条件は必ず不足しているので、不足を嘆くのではなく、有るものを最大限に生かすこと、ってお話。効率の悪い無謀な努力をすること、出来もしないことを延々と続けていること、など、限られた時間と金銭の中で、自分を客観的に観察し、効率の良いことと、可能性の高いことを選択しましょう、ってことですね。

 この話は漠然として伝わりにくいんだけど、たとえば大きな作業場が欲しいからと、コツコツアルバイトでお金を貯めて広い土地と工場を購入するのはあまりに遠回りすぎる。静かな住宅地のボロアパートだけど大型アンビルと炉を置いて大規模作業するのは不可能。両目が見えないけど根性で頑張るとか、ダメではないけど考えるだけで条件が悪すぎるものは、あまりに効率が悪いので賢くない。

 例はきりがないけど、希望と現実にどれほど乖離があるか? またはその乖離を埋める可能性はどれくらいあるか? 可能性があるけどどれほどの期間と経費が掛かるのか? を漠然とでも自分の能力と環境を考え可能性を精査するのがだいじみたい。

 それを考えないと時間とお金はあっという間に無くなっちゃう。西洋甲冑を造るも勉強するも、とにかくひたすら時間とお金が掛かるので、無制限に無期限に時間とお金は賭けられないからこそ、希望を形にするために効率の良い時間とお金の使い方を考えるべし!ってことのようです。真剣に物事に取り組む人ほどこの分析をよくやっているよね。

 希望することをすべて努力でつかみ取るのは無理。すべてをお金で解決するのは無理。できることは時間とお金の効率よい使い方をするだけ。自分が得意なことでお金を稼ぐ。実家の稼業を使って手っ取り早く資金を稼ぐ。他人が不得意なことを引き受けて代わりに自分が苦手なことを誰かにやってもらう。実力がなくても信用を積み重ね支援者を増やす。普段から病気やケガをしないよう注意し無駄な時間浪費と医療出費を防ぐ。etc…。

 ポーカーやカードゲーム、麻雀やテーブルゲームなんかもそうだけど、初めのスタートからすべて最良の条件が揃っていることはまずないし、どれほど努力しても希望するカードや牌が回ってくるとは滅多にない。努力したり工夫しても確率が上がるだけで、結果がもたらされる保証はない。

 カードゲームで分かるけど、実は流れの中で運のところがかなりある。だからこそ初めからでかい当たりを狙うのではなく、確実に勝てる(結果の出る)条件を拾っていくことが長期的に大切。ポーカーも麻雀も、何度もゲームをしているうちにチャンスが巡ってくることがある。そのことを理解するからこそ、今の状況の中でもっとも可能性のあることから着手して成長する。「今の状況と将来の可能性を考える」って意味では、西洋甲冑の勉強もカードゲームも同じだと思ってる。
 
 だから自分もその考え方を参考にして、自分が持っている知力と体力、家庭環境と親の力、年齢と資金力、時間と可能性、を常に考えて今に至ってる。これが三浦さんの語る「自分の能力と環境を知ること」なのですね。

 なんかまとまりないけど、最後まで読んでくれてありがとうでした。
 西洋甲冑造りた〜い!って思った人は参考にしてね。





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.04 2016 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その10

  「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その10」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスや話を思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

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三浦アドバイス、その10
『基礎からちゃんと勉強しな』
 前の話しは、作るなら簡単なものから作ろう!とかでしたね。気持ちが奮い立ったところで、さ〜はじめよう!になるんだけど、ここに来るとやっぱりけっきょく南極大冒険、何をどうして良いか分からない。

 道具を揃えることは前に触れてるけど、とりあえずスタートラインにつくと「基礎知識もまるでないから設計図やアイデアも明確に書けない」って気づく。さんざんあれこれ考えたり手順を考えたり道具を買ったりしても、最終的にはぐるっと回って元のスタート地点に戻ってくる。

 そうなんよ。歴史的西洋甲冑をきちんと作ろうとすると「西洋甲冑とはなんぞ?」の原点から知らないと何もできない。デザイン画を起こそうにも、基礎知識がないから歴史的デザインができない。時代や国もよう解らん。本やネットを見ても、実戦甲冑なのかトーナメント甲冑なのか? 板が2枚なのか3枚なのか? どうやってつながっているのか? もう考えるすべてが解らないで頭を抱える。知っているようでも具体的な構造や形は意外と、いやかなり知らないし知るのは難しい。

 何となく見て、何となく描く絵と異なって、立体造形物はわずかでも形に不自然な箇所や矛盾構造があると途端に動かなくなるし、解らないまま強引に作ると歴史の甲冑とは関係なくなっちゃう。だから無理にすぐ作ろうとすると解らない部分を空想で作ることになって、形も好みになるから、だんだんオレ様ファンタジー甲冑になってく。

 真剣にやろうとすればするほど細かいところまで気にしなければならなず、常にオレ様ファンタジーの誘惑が手招きしてる。そして何十時間何百時間と調べるのがイヤになって「解らないからテキトーな形でファンタジーでいいや」になっちゃう。初めにも書いたように、基礎が解ってないとホントに構造設計できない。

 と言うことで三浦さんの提唱するのは、きちんと歴史の西洋甲冑を造りたいなら、きちんと基礎から勉強しな、って話になりまする。専門書をガッチリ読めってことではなく、専門用語をある程度理解して、英文のなかで専門用語が「?」にならないようになればオッケ。そして全体が漠然と解釈されるだけで後は資料を読みながら段階的に細かいことが解ってくる。
 
 専門用語が解るようになると、本やネットに書かれている説明が解るようになって、その説明から内容(知識)が伝わってくる。そうして説明が分かれば時代や形の理解がおおまかにできるようになる。たとえば、

「15世紀前期ではフンズゲーゲルのバシネットが一般であった。このバシネットはカメイユをヴェーヴェルで固定するのが一般で、ヴェーヴェルは革の帯を通り抜け、通し紐で固定されていた、兜の淵はラッテンで飾られていた。図23のエフィギーはそれを示している。同じ時代でドイツ地方ではカステンブルストの鎧が利用されたがすぐに廃れた。この時代の胴鎧はプラストロン、またはプラストロンドゥフェールと呼ばれていた。この時代ではまだプラストロン、またはブルストとフォールドの区別があまりなく、タンレットが大きくタセットはまだない。時代がやや進むとタンレットが次第に小さくなってタセットが大きくなる。それと同時にフォールドとプラッカートが連結してくる。鎧下もガンベスンからジーポンに移り変わり・・・」

 外国の簡単な(初歩的な!)概説を読むとだいたいこんな説明なので、専門用語が解らないと意味が理解できないでござる。英語が読める読めないはあんまり関係なくて、専門用語が8割りのハードルだと思ってる。

 結論として、三浦さんが語るように「とにかく基礎を勉強しなさい」に行きつく。基礎の勉強とは本をたくさん読んで記憶する勉強ではなく、全体を構図や仕組みや流れの「基礎と原則」を理解することなんでしょうね。基礎と原則が解ればあとは応用なので時間とともに理解が進む。基礎がないのに応用ばかりやろうとすると、いつまで経っても前に進まない。

 難しい大学の勉強じゃないんす。専門用語を知って書かれていることや説明されることが、絵や構造でおおまかに解ること。時代や国が別れていている初歩的なことを理解するだけで、ネットで見たイラストや解説で何のことか理解できるようになる。ホントに基礎だけでいいんだと思う。その上にさらに積み上げる知識は、人それぞれの必要性の違いだと思う。
 
 三浦さんが常々語っていたのは、「知りたかったら勉強しな」ってことですのう。西洋甲冑が知りたかったら、興味があったら、作りたかったら、どんなことにせよ基礎から少しづつ勉強するしかないんだよ〜ってお話でした。

 まとまりないけど、最後まで読んでくれた人ありがとうです。





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.08 2016 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その9

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その9」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その9
『初めは簡単なものから造るんだよ』
 修理や改造などをやってみて何となく作業に慣れたら、次第に自分で何か作ってみたくなる。そこでさ〜何かを作ろう!と情熱が涌いて来るんだけど、ここでフライングしてビッグなことをすると挫折するので、最初はシンプルなものを造ることから始めましょう!ってお話ね。

 西洋甲冑を造りたい!と思い立ったときは、カッコいい甲冑を見て憧れるのがよくある話だよね。でもそれはオリンピックの金メダリストに憧れるように、その姿と結果だけを見て輝く世界に憧れる。でもその結果へ到達するまでの裏側の練習や血のにじむような長い長い努力の様子は見てないし、その苦労は体験してないし想像もできない。

 西洋甲冑も同じで、昔の西洋甲冑もほとんど名工が造った作品ばかりだし、そうでない甲冑もベテラン作業員が造った甲冑ばかり。つまりどの西洋甲冑も経験を積んだ人たちが造った作品。そのような経験を積んだ人たちが造った西洋甲冑を見て「これ欲しいな」「自分でも作ろう」と思うのは・・・思うのは自由だけど、それが簡単にできると思うのはおこがましくて、そのベテランに到達するまでの道のりは遠く険しい。

 この地道な積み重ねは面倒だし、よく分からないので、こまけ〜ことはいいからとにかく造りたいんだ!って思う人はわりと多くて、西洋甲冑を造るぜ!と頑張る人はだいたいこの流れ。ここで問題になるのが情熱がありすぎて盲目になってしまうことで、一切の基礎勉強も知識もなく、とりあえずホームセンターで鉄板とハンマー買ってすぐ始めて、そしてせっかく初めて造るなら全身プレート甲冑を造るぞ!と初登山でエベレストを登ろうとするパターン。

 ベテランが造る作品を、未経験の人間がいきなり真似て同じことができる分けないよね。だから全身西洋甲冑を造ろうと爆裂スタートダッシュすると、出発した瞬間に壁に衝突して大破しちゃう。鉄が切れない、鉄が曲がらない、革が綺麗に切れない、鋲がまともに留められない、形も構造も歴史もデザインも分からない、道具も知識も技術もない。と初めの一歩を踏み出した瞬間にすべて止まる。

 これ笑い話に聞こえるけど、ほとんどの人はこのパターンで挫折するん。これまで何人も西洋甲冑造りたい君に会ってるけどみんな同じ。面白いほどみんな同じで、全部同じ轍を踏んでる。地雷があるから気をつけてと伝えてもみんな同じ地雷を踏む。基礎知識がないと造れないよと言っても先に作ろうとして撃沈する。

 西洋甲冑はほとんど車やバイクのような複雑なメカニズム機構なので、テキトーとかやると造れないどころか、バラされた部品さえも組立てることができない。だから構造や仕組み、原理や理屈が分かって初めて造ることができる。だから修理や改造で原理を勉強して経験を積むのが近道、って前の話になるんだけど、これを守る人はほとんどいない。
(ノД`)

 だから三浦さんの話のように「まずは修理や改造で練習しな」「まずは簡単なものから作りな」ってアドバイスになるわけどす。全身甲冑なんてそこそこの経験者でもなかなか造れない。ある程度造ることを経験しても、着たり動いたり歴史的構造にするなどの希望を満たすことはすごく難しい。これを無視して無理に製作すると、なんちゃってオレ様ファンタジー甲冑になる。

 全身は無理だから、とにかく簡単なものから造るのが順番。三浦さんはいつも「順番」が口癖だよ。おそらくどんな職業でも見習いは簡単な仕事からやらされるあれ。フランス料理の修業も皿洗いから1年間。ケーキ職人も仕入れと準備で下積み1年間。どんな世界でも基礎を理解してから1歩進むのが大原則。基礎をやってできるようになったらようやく実地にトライしてみる。

だから一番初めは自分が造りたいものは関係なくて「造れるものから造る」が大原則。甲冑パーツはいろいろあるけど、簡単な作りの肩当などは一番初めにトライしてみるのがいいと思う。コンパクトでシンプル構造の肩当なら特殊技術はいらないけど、基礎作業と構造がすべて入ってるから勉強や経験にはもってこいだと思う。

 「西洋甲冑を造りたい!」と思う人は、しばしばかっこいい兜や手甲から作ろうとするけど(9割り以上はこれ)、これも自滅行為的なのでホント避けてほしいにゃ。兜は甲冑マスターの称号を得るための最終試験となるほど難しいので、立派な兜を作ろうなんてのは無謀すぎるです。兜はプロでも一番苦労してますよ。

 手甲もまともなものを作ろうとするとかなり難しい。単純なミトン型手甲なら極端にそうでもないけど、そんなものを希望している訳ではないでしょう。スポーツプロテクターなら歴史構造を無視して自由に造れるけど、それも西洋甲冑じゃないくてスポーツプロテクターだから、勉強や知識とは関係ない自由工作になっちゃう。

 何かまとまりないけど、初めからすべての技術と知識は身につかないので、何か造るなら目的と目標を定めて、いきなりビッグなものを作ろうとせず、少しづつ練習として簡単なパーツから作って行くのが順番ですよ〜、と言ったお話でした。
☆^∇゜)

 三浦さんの格言。
「鎧の各パーツが造れないのに、どうして全身甲冑が造れるんだよ」

 最後まで読んでくれた人ありがとね。
(´ ▽`).。





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.19 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その8

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その8」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その8
『初めは修理とかで練習するのがいい』
 鉄板とか触るようになると、とりあえずなんか作ってみよう!みたいになるんだけど、いきなり何か作ろうとしてもまずろくなもんが造れないから、初めは造るのじゃなくて、西洋甲冑パーツなどの修理や改造から始めて、手作業の練習をするのがよいよ、ってお話ですね。

 改造や修理をやると、鉄板を少し切ったり、革ベルトちょっと作ったり、鋲を数個留めたり、曲がった鉄を少々修正したり、と基礎的なことが一通り少しづつやれる。だから改造や修理をしてると、自然とすべての作業をやることになって一石二鳥で学べるだわさ。

 もちろんゼロからいきなり修理や改造はできないので、前に書いたように、少しは様々な体験して分かってないと何もできないけど、初歩の原理が分かっていれば、あとは改造で体験を積んだ方が早く勉強できる。とうぜん初めからなんでも綺麗にできるわけないので、初めは何をしても仕上がりが悪い。でもだからこそ次は綺麗にやろうと向上心が涌くはずだ〜ね。

 初めはビッグな修理や改造は難しいから、体験を含めてヘボイ中古の西洋甲冑パーツ、またはインテリア甲冑などの簡単な修理から始めるのがいいみたい。たとえばテキトーな品を中古で譲り受けて、それをどう修繕したら良いか考えるだけでも勉強になる。改造や修理でなくても、分解、問題改善、クリーニング、組立、これをするだけでもずいぶん勉強になる。

 こうして原理が分かって練習のつもりで修理してみると、そこで色々学べるん。やることや確認することがこんなに多いのか!とね。ハンマーで少し叩いて形を戻そうとしただけでも、ハンマーが内側に入らず叩けないとか、叩いたらもっと歪んでしまった、なんてことはよくある話(笑)。
 
 他に、綺麗に磨けなくてマダラ模様になって返って汚くなったとか、狭いところの鋲を打とうとしたらハンマーが振れなくて鋲が打てないとか、分解しようとしたらいくらやっても鋲が外れず全部外すのに1日かかってしまった上に無理に外したから周囲が傷だらけになったとか、カッコ良い形にしたら関節が動かなくなった、なんてことはよくある話(笑)。やってみると、単純なことひとつでもそのつど悩まされ汚く仕上がることにどんどん自信を失う。技術も知識も道具もない未熟な最初が一番しんどいんだよね。
(;´・ω・)

 がむしゃらに練習を繰り返すと時間と労力を食うことになるので、効率よくやるためには、やる前とやった後によく考えることがとってもだいじ。「まずはメイルを作ろう」の話と同じだけど、初めにある程度の目測や計画を立てることがだいじで、やり始めると想像と異なることがいくつも起きるから、ゆっくり進めながら計画と方向性を修正してまめに確認してく。問題に早く気がつくと大きな失敗もなく微調整ができるので、これを丁寧にしていると改造もイメージに近い仕上がりになる(はず)。完成だけ強引にすると酷い完成品で終わって返ってやる気が失われるのでホントに危険。

 けっきょくこれが確認と慣れの繰り返しになるのだと思う。「やってる時に上手く行かないことで良い方法を考え対処していくこと」「良い方法を考えついて問題を解決して学んだこと」「学んだことを応用してより難しいことを適切にできるようになること」「終わってから気になることは次回で改善すること」などを考えながら作業を進めて行くとどんどんレベルが上がる。何も考えないとまったくレベルが上がらないままざんす。
(ノД`)

 できるかどうかは別として、三浦さんが語ったように、または海外の西洋甲冑師がみんなやっているように、未熟なりともできるかぎりよく考えて小さいことからじっくりやるしかない。そして練習作業でも新作でも関係なく、一つ一つを丁寧にやるしかない。鋲ひとつを綺麗に留める、小札ひとつを綺麗に造る、ストラップベルトひとつを綺麗に造る、これら基礎が地道にできて積み重なることで全体が綺麗にできるのだと思う。

 ほんなわけで、初めから鉄板を切って何か新作西洋甲冑を作ろうと勇むよりも、初めは単純な修理や改造をやってみてちょ。そうすれば、どんなことが必要で、どんなことを考えて、どんなことに注意するか少しづつ、そして確実に学べ、その学習の一つづつが経験になるので、なにごとも地道な積み重ねから頑張ってね、ってお話でした。

 三浦さんの格言。
「修理もまともにできないやつが、まともな全身甲冑を造れるわけない」

 ちょっと長くなったけど以上で〜す。読んでくれた人ありがとね。
(・ω・)ノ






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.12 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その7

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その7」だね。内容は「その6」から続いているので通しでどうぞ。
(・ω・)ノ

 つづき

 鉄板は無理な力を入れなくても、ある程度コツが解るとそんなに極端な力を使わなくても曲がる。曲がるってのは2次元変形ではなく3次元変形でごわすね。2次元に曲げるのは手でも曲げられるけど、3次元カーブはカップ型にしたりなどの、X軸とY軸を一緒に曲げるなど、平面展開図やペーパークラフトではできない曲面をハンマーで打ち出すことだね。

 これはブログのなかでも何度も書いてるけど「鉄は堅い粘土」なので「ハンマーでこねてると形が変わる」とイメージしていると、時間をかけて3次元に曲げられる。頭の中で「形の変わらない硬い平面」と思い込んでいると、いつまでたってもできない。粘土をこねるイメージはとても大切で、自分もまだまだ未熟だけど、このイメージができるようになってから急に作業が楽になった。
ヽ( ´¬`)ノ

 技術の話はきりないけど、ようはこれが感覚的に学ぶ「まずは鉄を叩いてみなよ」になるわけだね。三浦さんの話では、教科書も先生も、それは「鉄」そのものだから、鉄に触れることでその性質を感覚的に学べるようになるとのこと。鉄は叩けば叩くほど様々な性質を見せてくれるので、やればやるほど面白い。硬いと感じるものも次第に軟らかいと感じ始め、この気持ちの変化がレベルアッなのかもしれない。

 「鉄が教科書で先生」。常にこれを意識してると鉄を大切にするようになる。「オレ様の腕力で支配してやる」な〜んて力任せに殴ってると、先生である鉄は逆らってまったく言うことを聞いてくれない。「もしもし先生?ちょっとおうかがいいたしますがよろしいでしょうか?」な気持ちで適切な力で鉄を叩いていると、鉄は素直に良い返事をしてくれる。肩の力を抜いて余計な力を使わず丁寧に叩くとは、そ〜言ったことなんでしょうね。

 1撃1打のハンマーもそうで、作業として機械的に叩くのでなく、1撃ごとに心を込めて目的を持って狙って打ち込むと、鉄は1撃ごとにヒントを教えてくれる。「これくらいでよいのか?」と思って意識して叩いて鉄が変形すれば「この力加減と角度でこれくらい変形するんだ」と理解でき、それを意識して何千回と叩いてると、自分の望むような打撃コントロールで自由な変形ができるようになってくる。だから「何も考えないでガンガン殴ってるやつは何時間やっても進歩はない」はそのことだと思う。

 とま〜長くなってしまったけど、「鉄を叩いてみよう」はこんな感じ。プロの人から見るとイロハのイにもならないこんな幼稚な話はくだらないと思うでしょうけど、何も知らないビギナーは右も左も解らないし、プロの人は忙しいからブログなんか書いてくれないので、こんな感想みたいなのでも何かの参考になればと思うところ。

IMG_7325.jpg

 他に何か鉄を叩く参考になる資料があればいいけど、現代では鉄を手で叩くことがなくなっちゃったから、書籍すらほとんどないのが現状。何もないよりは「これは初歩の参考になるかな?」と思う古い本をひとつあげておくね。

・新技法シリーズ『鍛金の実際』
〜美しい形を作り出す手と槌の技法〜
美術出版社、B5版、ハードカバー、約159ページ、基本モノクロ、定価2.800円(税別)、初版1978年〜

 これ以外ではあまり知らないけど、タイトルに「鍛金」「鍛造」の単語があれば類似する内容なはず。でも「鈑金」「彫金」だとなぜか他の分野になってぜんぜん違う内容なので、それらの本は西洋甲冑の鈑金作業に役立たないので気をつけてくださいな。

 どうにせよ、鍛金でも鍛造でも、もう現代では必要ないしやってる人も少ないから、それでいて道具もろくに売ってないし、前例も教科書もないけど、鉄板叩いて西洋甲冑作ってみたい人は頑張ってくださいな、と思うところで今回はお開きとなります。

 何かダラダラと長く書いたけど、最後まで読んでくれた人がいたらありがとうです。
(´▽`)ノ





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.21 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その6

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その6」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、西洋甲冑を作ってみたいとかの人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その6
『鉄を叩いてみればいい』
 前の話は「鉄板を切ってみる」とか「革を触ってみる」とかでしたのう。基礎的なことが簡単にできるなら、鉄板を叩いてもみるのも良いのではないでしょうか。このへんはあれこれ考えると前に進まないので、ようは何でもやってみるのがいいんでしょうね。そこから学ぶことも多いですし。
 
 それでは鉄板を叩くとして、初心者は細かいことはすべて無視して、ホームセンターで売ってる鉄板を買って来るのだゴー!ある程度の規模の大型ホームセンターならだいたい鉄板は売ってるはずで、なければネット通販で探すのじゃ。それでもなかったら近所の鉄工屋さんに頼んでみるのがよいぞな。

 ホームセンターで売られてる物は、鉄板、アルミ、ステンレス、真鍮、銅、などいろんな金属板があるはずなので、そのなかで鉄板を購入するよ。厚みはいろいろあるけど、体験としていくつか種類を買ってみるのが良いかもしれない。予算に余裕があるなら0.6、0.8、1.0、1.2、1.6、2.0ミリなどを購入して、それぞれの硬さや厚さを体験するのが面白いですよん。鉄は安価だから遠慮なく購入するべし。

 鉄板買ってきてカットして、さっそくハンマーで叩こうと思う。しかしどのハンマーで、どうやって叩くかも良く分からない。「ホームセンターで売ってる普通のハンマーじゃダメなの?」と考えるけど、別に叩くだけなら何でも良い。でもホームセンターのハンマーは鈑金用ハンマーじゃないので綺麗な造形はできないのよね。
(´Д`;)

 じゃ〜とネットでよく調べて動画を見て、金床と鈑金ハンマーが必要なことは分かったので、金床と鈑金ハンマーを買おうとするけど、こんどは金床と鈑金ハンマーが売ってない。ネットで買おうと探しても、車の工具で使われる一般的な物ばかりで「あれ〜?鍛造用のハンマーは売ってないの?」ってなる。日本は工業品意外の道具ってホントに売ってない!バブル時代以降、ロウテクの道具は一気に消滅したん。

 道具を調べて使い方を調べて、頑張って購入して道具を加工して、それで鉄板を叩きを始めて経験を積んでみて・・・といった流れをやることになるけど、誰かが手ほどきしてくれないかぎり、この手間と時間と経費はかなりかかる。鉄工所に就職して仕事だったら黙っていても学べるし、給料がもらえるから良いけどけど、趣味でそこまでやるにはリターンもないので相当な負担覚悟になっちゃう。

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 「鉄板を叩いてみよう」も言葉では簡単だけど、始めるにはどうしても最初のハードルが高い。で、道具はテキトーに買って準備できたとして、そこからとりあえず「まずは鉄板を叩いてみなよ」になる。道具が粗末でも立派でも、鉄板を叩く行為は同じ。自分の経験でも、経験は技術の半分以上を占める貴重な「技術」だと思う。やってみて汚い仕上がりだなと思ったら、道具が悪いか腕が悪いかのどちらかしかないので、あとは工夫するだけ。

 初めに鉄板を叩いて経験することは「ぜんぜん曲がらない(汗)」を知ることかな。たとえ1mmや1.2mmの鉄板であっても、とにかく手作業だと曲がらない。「鉄ってこんなに硬いの?」と初めてだとそう思う。自分のイメージや動画の真似をしても現実には簡単にそうならないって典型的な事例でごわす。

 火を使えば少しは軟らかくなるけど、それにはまた設備投資が必要になる。だから初めは欲張らずに0.6ミリや0.8ミリの比較的薄い鉄板からやるのが良いのだね。それより薄い0.3mmとかだと、今度は反対に破けちゃうほど薄い。上は1.2mmを超えると、手作業では急にしんどくなるのでここが境目よ。
:(›´ω`‹): 

 鉄が硬いことを経験すると、その硬さにたいしてどんどん力が入ってくる。「パワーで勝負だ!」みたいになるんだけど、パワーを入れすぎると今度は鉄の硬さを飛び越えて変形しちゃう。知らないとこれが鉄を曲げることと思って調子良くガンガン殴る。「オレのパワーを持ってすれば1.2mmの鉄も余裕!」と錯覚してガンガン殴ると、やがて収集つかなくなって鉄クズとなる。または破ける。

 学校や鉄工所で学んでいればこうした感覚も学べるけど、何も知らないと初めの硬さと難しさで挫折しちゃう。知識や経験がないときはどうやって鉄を曲げたら良いか「技術」を知らないので、使える要素は「パワー」になっちゃう。でもパワーに頼らず「パワーをどう技術へシフトしていくか?」が勉強と成長だと思ってる。

 三浦さんに言われたことは「だいたいのことは時間をかければできる。でもほとんどの人はそれをする時間がないことで諦める。だから本当にやりたいなら時間をかけて何でも気長にやってみることだ」の話になるわけだ〜ね。

 その長い時間を短縮するのが機械マシンなんだけど、パワーのある機械は業務用ばかりで高額だから、それを買うために資金を稼がなくちゃいけない。その資金を稼ぐために働く時間が・・・とループになるので、近道はないんですな。
(´~`;)

 長くなったからひとまずここで区切りますね。

つづく





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.14 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その5

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その5」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その5
『まずメイルを編んでみな』
 前の話は「鉄板を切ってみる」「革を触ってみる」とかでしたな。それくらいが簡単なら鉄板を使って作業をしたいと考えるんだよね。別に鉄板をカットして何か作ってみるのも良いでしょう。でも三浦さんは鉄板やる前に、頭の体操として「まずメイルを編んでみな」とアドバイスしちょります。

 メイルとは、日本では「くさりかたびら」とか「チェインメイル」とか呼ばれているあれですな。これを作るのは労力がすごいかかるのと技術が多少いるので、プレート甲冑を作る前には良い頭の体操になるです。本式にリングを鋲留めするとシンどすぎるので「網パターンを学ぶ」として、リングだけの形を作ってみるのが良いそうです。

 「メイルなんか輪をつないだだけでバカでもできる」と思われてあまり取り組む人はいないんだけど、こいつはバカではできないちょうど良い頭の体操になるのですのん。構造は輪(リング)をつなげていくだけだけど、理屈が分かってないと人体の形にするのは簡単ではないぞな。

 リングをつなげていくと縦目と横目があるので、縦と横にそれぞれの性質が現れる。その性質を利用して上手くつなげていくと体の形に合わせて綺麗に造ることができる。リングを編んでいくとそこから学ぶことがたくさんあるん。上手く行くこと、上手く行かないこと、想像すること、考えること、計画すること、計算すること、確認すること。これを繰り返すことで問題を解決する姿勢と柔軟さがとても身につくので、メイルはとてもよい思考訓練になりますですよ。
(´◔_◔`)

↓昔の古い作品。たぶん96〜98年頃に作ったやつだと思う。
このころは3年くらいメイルパターンばかりやってた。設備投資もかからないし、頭の体操には最高だ。
綺麗に頭の形になると被りやすいよ。
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↓おなじく肩から肘、肘から手首と形が揃うとダブダブせず、体の形になって動きやすく着心地ばっちり。
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↓参考画像:これは外国の博物館に展示されてる実物のメイルの袖ですね。説明を見るとロンドン塔の品のようで、外国のブログから拝借いたしました。見ての通りズンドウの筒ではなくて、腕の形になってる。
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 「メイルなど面倒くさいから、すぐプレート甲冑やる」って思う人はむしろ普通なんだけど、プレート甲冑はメイルよりずっと面倒くさくて、もっと頭を何倍も使うから、メイルができない人間がプレート甲冑なんか作れるわけがないんだな。問題が発生しないように事前に検討して予防して工夫して形にする。この基礎的な思考の鍛錬と言うか練習は、メイルの制作作業にみんな凝縮してる。だから「まずはメイルを編んでみな」って入門者へのアドバイスはその通りなんだろうなと実感してる。

 こうしてメイルを編むパターンをたくさん経験して「考える練習」を繰り返したことで、自分もその後はずいぶんと思考が柔軟になったと思う。メイルもプレートもほぼすべて独学で時間はかかっているけど、考える習慣が身についたので、知識と経験がなくて、はじめてのことでも慌てず、じっくり考えて概ねなんとかなるのは、考える習慣が身についたからかなと思うところ。

 こんなことから「まずはメイルを編んでみな」のアドバイスはとても良いアドバイスだと思う。メイルを飛ばして初めからプレート作業をしても良いんだけど、レベルアップにはとてもためになるから、1回1着でもメイルをやってみるのが良いですよ。
(゜∀゜)

 と、長くなりましたが以上でおしまいです。





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.07 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その4

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その4」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その4
『鉄板を磨いてごらん』
 鉄板を切って、鋲を打って留めて、革を扱うことを体験したら、ようやく鉄板だね。自分も鉄板を叩きたくて初めに喜んだけど、三浦さんからは「鉄板は磨きからだから、初めに磨きをやってごらん」って言われた。

 鉄板磨きなんてバカでもできるじゃん、と思ったけど、それは素人だから思うんだろうね。今思うと本当に身の程知らずのケツの青いド素人アホだなと思ってしまう。(笑)

 鉄板を叩いて西洋甲冑を造形しようとすると、仕上げるときに必然的に鉄板を磨かなくてはいけないことになる。だから鉄板をやる前に、最低限の磨きをできるようにしておかなければならないわけだ。別にあとでやってもいいんだけど「最後に仕上げができずに完成できないけどいいの?」みたいなことになる。

 鉄板を造形しても磨けなければ凸凹のガチャガチャのままで、見るからに鉄クズ姿になってしまう。そして磨きを無視して「そんなもの機械でやれば簡単」とかほざく人に限って機械で磨いても汚い。広い面ばかり磨いて、隅々まで一律に磨かない。いや、機械では隅々まで磨くのができないと言ったほうが良いでしょう。

 もちろん機械で隅々まで綺麗に磨く人も世界にはいるけど、それにはそれ専用の道具とコツを用いているので、それを気軽に真似するのはちょっと無理。磨きは磨きでプロが居るくらいだから、おいそれとサルマネでどうにかなるものではないのだ。

 そうしたことをトータルで考えると「まずは磨きを学ぼう!」ってアドバイスはとっても理にかなってる。私もアドバイスでこれを授かったし、それが必要だと理解したし、一度作業の体験をさせてもらったときもこの磨き作業一辺倒だったけど、振り返るとこれは良い体験と勉強だったなと思った。

↓以前に作った磨きサンプル
上段左から、ハンマー、粗、中、
下段左から、細、仕上げ、さらに油、の6種類
現在は機械を使うので必ずしもこの順番ではないけど、基本的な流れと変化はそう変わらないですね。
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 体験だけならそんなに難しくないから、未経験素人でも手磨きはやってみるのが良いと思う。鉄板を買ってきて金ハサミで適度なサイズにカットして、ハンマーでテキトーに叩いて湾曲を作ったら、それを磨いて西洋甲冑のような輝きが出るまで手で磨いてみるのが良いのです。
(・ω・)ノ

 手磨きだとサンドペーパーで「粗、中、細、仕上げ」と段階的に磨いていくけど、どのサンドペーパーが良いかは人それぞれなので、ホームセンターでさまざまな番号のサンドペーパーを購入してきて、体験してみて自分にあった番目で磨いてみるのが良いでしょう。私も三浦さんから教えてもらった番目はあるけど、何か合わないので自分で違う番号で磨いた。

 ハンマーで叩いて軽く湾曲させた鉄板が西洋甲冑みたいにピカピカになれば磨きはオッケだね。この作業がシンドイと思えたら機械を使っても良いと思う。もちろん機械で磨くと手磨きとは異なる番目になるから、また自分にあった番目を捜さなくてはいけない。

↓磨きをするためのマシンと消耗品、サンドペーパーなどなど
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 このときディスクグラインダーを購入したり、砥石ディスクをあれこれ買ったり、バフモーターを購入したり、磨きバフを購入したりと、機械へ進めば進むほど楽にはなるけど費用が洒落にならない金額でかさんで行くのが難点。しかも機械を使ったからといってすぐに綺麗に磨けるわけではなく、コツをつかむまでけっこうな時間を練習しないとまったく使いこなせない。
(´Д`;)

 安価なディスクグラインダーはたくさんあるけど、長期間使うと壊れるしウルサイし、ディスクは安価でないのに消耗品なのでたくさん購入しなければならない。バフモーターになると高額だから仕事でもないかぎり割が合わない。中途半端なパワーだとすぐに止まるので使えず、けっきょく業務用を買うことになる!
(業務用は下手をすると海外の安価な西洋甲冑が買えてしまう価格!)

 と、磨きひとつでもけっこう苦労させられてしまう。お金がないスタートは手作業で理屈を学ぶしかないし、手作業は安価だけどとにかく時間と体力がかかる。ほとんどの人はこの手作業磨きで見事に挫折すると言っても良い。下手な仕事よりよっぽど重労働だからね。

 このシンドさを回避するには機械化だ。しかし機械化はとにかく経費がかかる。どれほど楽で短時間でも、初期投資はけっこうかかり、慣れて来るたびにグレードを挙げて行くことになるのでパソコンのように金を食う。こんなに金と手間がかかるなら外注のほうが安くね?と思い始めるわけだ。専門で適正価格の磨き屋がいるってのはそんなことなんだろうね。

 こうした磨きを体験すると、時間とコストのバランスが見えてきて、そこに技術が反映されて労働単価が見えてくる。西洋甲冑を気軽に作って安価に売られていないのはそんなこことからも理解できる。手作業で機械でも、物を造ることに簡単なことはないってことがよ〜く解る。


 などと磨きのことだけでも学ぶことは山のごとく多いけど、あんまり先のことを考えちゃうと疲れるから、興味があるなら何事も体験から入ってみるのが良いでしょうね。「鉄板を叩くのもいいけど、磨きができるようになってからだね」といったお話でした。

 長くなったのでまずはここまで。





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.22 2015 西洋甲冑を造りたい comment0 trackback0

「西洋甲冑造りた〜い」って思うとき その3

 「西洋甲冑を造りた〜い」と思ったときに、何をしたらいいか、の簡単なお話「その3」だね。昔に三浦さんからもらったアドバイスを思い出しながら、何となく書いてみたので、これから西洋甲冑を作ってみたい人は参考にしてみてね。
(・ω・)ノ

三浦アドバイス、その3
『革を触ってみなよ』
 西洋甲冑を造りたいと思って、ハンマーを購入して鉄板を叩きたいと思うのが初めなんだけど、西洋甲冑のパーツは多くが革でつながったり留められているので、革ができないとまったく機能しない代物。西洋甲冑が鉄板だけだと思っていたら素人ネコまっしぐらだ。
(´・ω・`)

 革はけっこうなクセ者。鉄板で何かを造形して作った気分になるのはチャレンジすれば誰でもできるんだけど、それを着用したり可動させるには、まっとうな革を取付けなくてはならないので、必ず革を扱えるようにならないといけない。

 自分も初めのころは「そうなの?」と思ってた。「まずは好きなようにやってみな」と言われて、まずは鉄板をハンマーで叩いてみた。良く分からないけど、何かを造形して、何となく形になるように体験して「時間はかかるし汚いけど、頑張れば形にはなるものだな」と喜んだ。

 ところがどっこい。鉄板が形になっても革のことは無知だから、その鉄板がまったく活かせない。革を正確に取付けることで、はじめて鉄板を可動させることができる。だから革のことが分からないとデタラメなことをして、甲冑や防具としてまったく役に立たない「アイアンオブジェ」が完成する。

 こうした経験をして「やっぱり革も勉強しないとだめなんだな」と理解して台風に飛ばされてスタートに戻るわけだ。だから初めは無理に鉄板をやらないで、構造学として革の留められている仕組みばかり勉強したんだな。ボール紙をカットして仕組みを視覚化し、そこからサンプルを作り、そこから西洋甲冑の表面写真を見て鉄板と革がどこで留められ、つながり、どのように動くかを理解することで全体の仕組みが分かるようになった。

↓昔に作った革の仕組みサンプル
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 こうした革を理解すると、テキトーな鉄板造作しても、革が適正に留められていれば、活用できる「防具モドキ」が作れるようになる。これは面白いもので、いかに革が可動や快適さの基本になっているかが分かるわけだビックリ。

 だから「革を触ってみな」って話はスゲー重要なことが分かるわけ。革を知れば構造が分かる。構造が分かれば可動が分かる。可動が分かれば鉄板の形成も理解できる、と連鎖していくんだね。ちょっと遠回りばかりで気が遠くなるけど、きちんと学びたい、きちとんと作りたい、と考えるならば、やっぱり基礎として革は勉強しないとだめかなと思う。

 もちろん革をすべてマスターしてからでは鉄板を勉強する時間がなくなるので、現代のネットの力を利用して、単純な基礎として、材質、特性、種類、道具、などの基礎だけを学べば良いし、ネットで簡単に購入できる道具を揃えてみるのが良いと思う。革の道具はマシンを購入しなければ比較的安価なので、数万円ていどで概ね一通り揃うよ(安物はすぐに壊れるので注意)。

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 私の始めたころはネットもないので情報が少なく、おまけに専門書を買えば高価だから図書館ヘ行って調べて、より資料を捜すために大型書店ヘ行って立ち読みして、必要なら書店内でメモを取り、時間があれば古本街を廻り、今のようにチャイナ製が溢れているわけではなくバブルの前後は物は高価だったし、最終的に革の店ヘ行って話を聞いたり、少し道具を購入して一人であれこれ素人が模索するだけ。革だけでかなりの手間とコストがかかって、基礎を知るだけでとにかく大変だった。

 いまは便利な時代だからネットでみんな無料で教えてもらえる(書いてある)し、革の基礎だけならバカでも数日で基礎が学べる。自宅で無料で学べるのに「革が分からない」とかほざいたら、鉄板なんて百倍苦労するから、お先真っ暗になる。一番基本となる「革を触ってみな」のアドバイスは、導入部分のすべてを表していると思う。良い革の加工ができるのなら、良い鉄板作業、そしてよい甲冑作品につながるはず。

 海外の西洋甲冑をしばしば見せてもらえるけど、革の加工が丁寧なところは、すべて鉄板や造形、仕上がりの具合が良いところばっかり。反対に革の扱いが雑で付け方がデタラメだと、鉄板造形も比例してデタラメで雑。まさに革と鉄板は一体であることがよくよく分かるわけだ。

 私も革は素人だし、鉄板もまだ未熟だけど、革の加工に気を使う余裕ができるようになると、鉄板加工の質も自動的に上がってくるのは確かで、革と鉄板はセットで2足歩行だなとよく判る。だから西洋甲冑を造ってみたい、勉強したいと思う人は、三浦さんが語るように、しっかり革も勉強したほうが良いよ〜と言ったお話でした。

 長くなったのでまずはここまで。





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マクシミリアン1世

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